Case 2: 宇宙開発

国際宇宙ステーション
「きぼう」での厳しい耐久性試験をクリアしたPEEK電線

© JAXA/NASA

ある市場や用途で成功し、その世界では技術の高さで認められていても、それは将来に対して何の保証も与えない。
常にもっと先を見て技術を磨き続けることがお客様の信頼を得る唯一の手段であることを、我々は知っている。

究極の信頼性と耐久性

例えば、宇宙用途。潤工社は、国内メーカー最長となる20年以上もの間、国産ロケットにワイヤ・ケーブルを供給し続けている。極寒であり、高熱でもある。強力な紫外線や宇宙線にもさらされる。そんな宇宙空間では、究極の信頼性と耐久性が認められたものしか使用を許されない。
さらに、最近の先端技術の発展によってロケットや衛星が高重量化する傾向にあるため、ワイヤやケーブルを少しでも軽量化したいというニーズが顕在化してきた。1kg重くなると打ち上げコストが100万円余計に掛かるという試算もある。主流である5トン級の放送衛星には約500kgのワイヤ・ケーブルが搭載されており、これを20%軽量化できれば合計で約100kg、1億円のコスト削減が見込めるという皮算用だ。

地上で長期信頼性試験

従来の究極の信頼性と耐久性を確保しながら、更に軽量化を達成するためにはどうすれば良いか?軽量化は他の市場でもニーズがあり、材料設計と電線設計技術をコア技術とする潤工社にとっては、早くから手掛けていたキートレンドでもあった。そして、PEEK電線を宇宙用途に使用するというアイデアが生まれ、担当者が音を上げるほど繰り返し実験が行なわれた。宇宙でも長期間の使用に耐えることを裏づけるため、まずは2年間にわたって地上で長期信頼性試験を実施。その結果を元に、国際宇宙ステーション「きぼう」が受託している評価サービスを利用して、潤工社のPEEK素材を2年間宇宙空間に露出させ続けた。設計したエンジニアさえ驚くようなその結果は地上予測とは異なっており、今後の開発に大きく貢献する数々の知見が得られた。そして、この宇宙環境における品質検証によって、今後もより信頼性の高い宇宙用製品の開発が可能であることが証明された。

潤工社は、やがて切実に必要とされるであろうロケットの軽量化に対するソリューションも用意している。これは、これまでの技術に決して安住することなく、常にお客様の要求を考えて先取するという精神と、次の技術を追い求め続けたいという熱意に基づいている。

人工衛星は世界の通信事情を改善し、より快適な生活に貢献するだけでなく、アマゾンの森を監視し、天気予報の精度を上げることにより台風や大雨災害から尊い人命を救うといった役割を担っている。潤工社の製品が確実に社会に貢献しているという確信が、お客様に寄り添い、お客様の開発を支援するモチベーションになっている。

※掲載の写真は取材当時のものです。

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